Minimal Invasive Corrective Osteotomy with the Ilizarov Mini-Fixator for Malunited Fractures of Proximal Phalanges in Adolescence: Report of Three Cases and a Review of the Literature
Authors: Yuji Tomori, Norie Kodera, Mitsuhiko Nanno, Tokifumi Majima
Journal: Journal of Nippon Medical School, 2023; 90(2):141-148. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2023_90-214
この論文は、思春期における指骨の変形治癒(外傷後の骨折治癒後に発生する角度、回転、および短縮変形)に対して、Ilizarovミニフィクサーを用いた低侵襲矯正骨切り術の効果について検討しています。具体的には、著者は3例の思春期の患者に施行した治療結果を示し、同様の症例に関する文献レビューを行っています。
背景と目的
- 背景:中手骨や指骨の骨折の多くは非手術で治癒するが、まれに著しい変形や機能障害が残ることがあります。特に変形が大きい場合は、握力の低下や指のスキャッシング(指の交差)が発生し、整容上および機能的な問題が生じることがあります。
- 目的:この研究では、外傷後に残った指骨の変形をIlizarovミニフィクサーを用いた低侵襲的な矯正骨切り術で修正し、結果を評価しました。従来の開放的な骨切り術に比べ、外部固定装置を用いることで、手術部位の瘢痕や腱癒着を回避し、治癒期間を短縮する可能性があります。
方法
- 対象患者:2017年から2019年にかけて、変形治癒した指骨を有する思春期の患者3名(12歳、15歳、17歳)が本研究の対象となりました。各患者は、骨折後に残った変形による整容的および機能的な問題を訴え、Ilizarovミニフィクサーを使用した矯正骨切り術を受けました。
- 手術手技:術中にデジタルブロックまたは全身麻酔下で皮膚切開を最小限に抑え、指骨に対して小切開を加え、専用のピンを指骨の近位および遠位に設置しました。指の自然な屈曲および伸展位置に合わせてミニフィクサーを調整し、最適な指のアライメントを確保しました。
- リハビリテーション:術後すぐに指の可動域(ROM)訓練が推奨され、外固定具は6週間後に除去され、その後数週間は指用のナックルスプリントが装着されました。
結果
- 臨床的評価:全ての患者が骨癒合を達成し、術後の指のROMは良好でした。術後の追跡調査では、3例全ての患者が整容的および機能的な満足度を報告し、痛みや機能障害を訴えることはありませんでした。
- 合併症:3例のうち1例でピン刺入部位の軽度感染が見られましたが、抗生物質の投与により制御され、外固定装置の適用は継続可能でした。
考察(Discussion)
- 本手技の利点は、外部固定装置の使用により手術部位の瘢痕や腱癒着を回避でき、指の屈曲および伸展の制限を最小限に抑えられる点にあります。従来の開放的骨切り術では、固定のための内固定具が指の伸筋や屈筋腱の癒着を引き起こし、可動域の制限や痛みの持続を伴うリスクがありました。
- Ilizarovミニフィクサーを使用することで、三次元的な安定固定が可能であり、骨の延長や再建を柔軟に行える利点が強調されました。ただし、ピン部位の感染リスクがあるため、適切な管理が必要です。
結論
Ilizarovミニフィクサーを使用した低侵襲的矯正骨切り術は、思春期における指骨の変形治癒に対する効果的な治療法であり、整容的および機能的な良好な結果をもたらしました。