Clinical outcomes of nonsurgical treatment for Preiser disease
Authors: Yuji Tomori, Mitsuhiko Nanno, Shinro Takai
Journal: Medicine, 2020; 99(4):e18883. doi: 10.1097/MD.0000000000018883
本研究は、Preiser病(舟状骨の特発性無腐骨壊死)に対する非手術的治療法の有効性を評価することを目的としています。Preiser病は稀な疾患であり、治療法には一貫した基準が確立されていません。研究対象は、日本医科大学において非手術的治療を受けた8名の患者で、平均年齢は59歳でした。患者は持続的な手首の痛みを訴えており、手首の運動制限と握力低下が認められました。
方法
- 対象者:外傷歴がないPreiser病患者8名を対象としました。
- 評価項目:患者の手首の可動域(ROM)、握力、舟状月状骨角(SLA)、舟状骨面積の減少率などが評価されました。臨床的評価には修正Mayo手首スコア(MMWS)が用いられました。
- 非手術的治療法:痛み止めの経口投与、固定、安静を含む治療が行われました。
結果
- 痛みと機能の変化:すべての患者で痛みの改善は見られず、可動域や握力も改善しませんでした。MMWSの中央値は17.5で、8名中6名が「不良」と評価されました。
- 放射線学的所見:フォローアップ期間中に5例で病期が進行し、舟状骨の面積は平均11%減少しました。スキャフォルニ角の増加と手根骨の背側セグメント不安定性(DISI)も多くの患者に見られました。
考察(Discussion)
本研究は、非手術的治療がPreiser病の放射線学的進行や臨床的症状の悪化を防げないことを示唆しています。Preiser病は慢性的な血流障害と機械的なストレスにより発症するとされ、喫煙やアルコール摂取もリスク因子として考えられています。特に、非手術的治療が効果的でない理由として、舟状骨の構造が壊れやすいことや圧力による骨の潰れが進行することが挙げられます。
放射線学的には、SL角の増加やDISIは、舟状骨の進行性崩壊を示しており、圧力が舟状骨を押し潰す可能性があると指摘されています。非手術的治療ではこれらの変化を止められないため、診断後は早急な外科的介入が必要と結論付けられました。
結論
非手術的治療は、Preiser病患者の症状改善に効果がなく、放射線学的所見の悪化も防げませんでした。