ACE阻害薬とARBの違い

ACE阻害薬とARBは、どちらも高血圧治療に用いられる薬剤ですが、以下のような違いがあります:

作用機序の違い

  1. ACE阻害薬:
  • アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害し、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を防ぎます[1][4]。
  • ブラジキニンの不活化を抑制する作用があります[1]。
  1. ARB:
  • アンジオテンシンII受容体(特にAT1受容体)を直接阻害します[1][2]。
  • AT2受容体を刺激する作用があります[1]。

臨床効果の違い

  1. 血管新生効果:
  • ACE阻害薬は、ブラジキニンを介して血管新生を促進する可能性があります[1]。
  • ARBでは、血管新生効果が少ない可能性があります[1]。
  1. 心血管イベントリスク:
  • ACE阻害薬は、ARBよりも狭心症や心筋梗塞などの発生リスクをより低下させる可能性があります[3]。

副作用の違い

  1. ACE阻害薬:
  • 主な副作用として空咳やのどの違和感、むくみがあります[2][3][4]。
  1. ARB:
  • 軽い動悸やめまいなどが副作用として報告されています[2]。
  • ACE阻害薬で見られる空咳の副作用が少ないです[3]。

これらの違いを考慮し、患者の状態に応じて適切な薬剤を選択することが重要です。例えば、冠動脈疾患の既往がある患者にはACE阻害薬が優先的に使用されることがあります[3]。

ACE阻害薬とARBの使い分けの基準は主に以下の点に基づいています:

  1. 副作用の有無:
    ACE阻害薬で空咳が出る場合、ARBを選択します[3]。ARBはACE阻害薬で見られる空咳の副作用が少ないです。
  2. 心血管イベントリスク:
    ACE阻害薬は、ARBよりも狭心症や心筋梗塞などの発生リスクをより低下させる可能性があります。そのため、冠動脈疾患の既往がある患者にはACE阻害薬が優先的に使用されることがあります。
  3. 心臓保護作用:
    ACE阻害薬は心臓を守る作用に長けており、心臓の病気(収縮不全)をもつ患者さんの生命予後も改善するため、循環器医が特に好む薬です[2]。
  4. 降圧効果:
    ARBの中でも、より強い降圧を求める場合はアジルバ(アジルサルタン)を選択することが多く、逆に高齢で強い降圧を求めない場合にはニューロタン(ロサルタン)を選ぶケースもあります[2]。
  5. 腎保護効果:
    慢性腎臓病を背景疾患に持つ高血圧症患者では、ARBが第一選択として選ばれることが多くあります[2]。
  6. 忍容性:
    ACE阻害薬に忍容性がない場合、ARBがACE阻害薬の代わりに使用されることが推奨されています[1]。

これらの基準を考慮し、患者の状態や背景疾患に応じて適切な薬剤を選択することが重要です。

Citations:
[1] https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/2/111_221/_pdf
[2] https://iida-naika.com/blog/hypertension-medication/
[3] https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3493_05
[4] https://heartmutsuai.clinic/blog/?p=208
[5] https://pro.boehringer-ingelheim.com/jp/medical/cardiovascular/3rd-antihypertensive-drugs-treatment-of-hypertension

ACE阻害剤とARBCitations:
[1] https://shimoyama-naika.com/cardiology/ace-arb/
[2] https://www.nagoya.tokushukai.or.jp/wp/heart_cardiopathy/3373.html
[3] https://www.rishou.org/activity-new/qa/qa-vol-227
[4] https://dm-net.co.jp/qa1000_2/2006/04/q278acearb.php
[5] https://heartmutsuai.clinic/blog/?p=208
[6] https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3493_05


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