概要
社交不安障害(社交恐怖症)は、他者からの注目や批判に対する強い恐怖を特徴とする一般的な精神疾患です。思春期に発症することが多く、日常生活や社会的、学業、職業的な機能に大きな影響を及ぼします。以下に、診断基準と治療法をわかりやすく解説します。
診断基準
診断基準 | 詳細 |
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期間 | 少なくとも6か月以上の期間、1つ以上の社交的な状況で著しい不安を感じる |
内容 | 他者に観察される、恥をかく、または屈辱を味わうことへの恐れ |
回避行動 | 社交的な状況を避けるか、強い苦痛を伴いながらその場を耐え忍ぶ |
機能障害 | 社会生活、学業、仕事における顕著な障害 |
サブタイプ | パフォーマンスのみ(例:人前での話や発表のみで症状が現れる) |
社交不安障害では、患者は日常的な社交の場面(例:新しい人との出会い、友人との会話)で著しい苦痛を感じます。また、社交イベントの前には数週間前から予期不安を感じることが多く、しばしばイベント自体を回避する行動(例:パーティーに行かない、学校に行かない)につながります。
社交不安障害の主な症状
症状 | 具体例 |
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身体症状 | 赤面、発汗、震え、頻脈 |
行動 | 目を合わせない、短い返答、面接中に不安そうな態度 |
予期不安 | 社交的なイベントの数週間前から不安を感じる |
回避行動 | パーティーや人混みを避ける、学校や仕事を休む |
治療法
社交不安障害の治療は、薬物療法と**認知行動療法(CBT)**が中心です。患者の症状やサブタイプに応じて、以下の治療法が選ばれます。
治療法 | 説明 |
---|---|
SSRI/SNRI | 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、社交不安障害の治療に効果的です。 |
認知行動療法(CBT) | 社交不安を引き起こす思考パターンや行動を変えるための心理療法。 |
β遮断薬/ベンゾジアゼピン | パフォーマンスのみのサブタイプにおいて、一時的な症状管理のために使用されます(例:プレゼンテーションや演説時)。 |
他の障害との鑑別
障害 | 特徴 | 違い |
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適応障害 | 特定のストレス要因に対する反応で、不安や抑うつを伴う。 | 社交不安障害は、特定のストレス要因に依存せず持続的です。 |
広場恐怖症 | 公共の場所を避けるのは、逃げ出せない、または助けが得られないという恐れから。 | 社交不安障害は、主に他者からの評価や批判の恐れが原因です。 |
全般性不安障害 | 様々な状況に対して広範な不安を感じる。 | 社交不安障害は、特に社交的な状況に限られた不安です。 |
パニック障害 | パニック発作が予期せず起こり、特定の引き金がない。 | 社交不安障害では、社交的な場面が引き金となってパニック発作が起こることがあります。 |
心気症(身体表現性障害) | 自分の体に対する過度な不安や症状への過集中。 | 社交不安障害では、体の不調は主に不安から生じるもので、身体症状自体に執着はありません。 |
まとめ
社交不安障害は、他者からの批判や恥をかくことへの過度な恐怖により、社交やパフォーマンス状況で強い不安や機能障害を引き起こします。適切な診断と治療により、症状の改善が期待できます。