ブドウ球菌はグラム陽性の球菌で、クラスターやペア、短い鎖を形成します。以下に、ブドウ球菌の特徴や鑑別方法、感染症との関連を表でまとめます。
特性 | 説明 |
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グラム陽性 | ブドウ球菌はグラム陽性の球菌であり、染色体が紫色に染まります。 |
カタラーゼ陽性 | ブドウ球菌は3%過酸化水素を使用したカタラーゼ検査で陽性反応を示し、連鎖球菌(カタラーゼ陰性)と区別されます。 |
凝固酵素(コアグラーゼ)陽性 | コアグラーゼ陽性のブドウ球菌には病原性が高い**黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)**が含まれます。 |
凝固酵素(コアグラーゼ)陰性 | コアグラーゼ陰性のブドウ球菌には、S. epidermidis、S. saprophyticus、S. haemolyticusなどがあり、これらは通常無害ですが、一部は感染症を引き起こすことがあります。 |
ブドウ球菌の主な種とその鑑別
種 | カタラーゼ試験 | 凝固酵素試験 | その他の特徴 |
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黄色ブドウ球菌 (S. aureus) | 陽性 | 陽性 | 黄色色素を生成、溶血性、感染性心内膜炎や皮膚感染症を引き起こす。 |
表皮ブドウ球菌 (S. epidermidis) | 陽性 | 陰性 | ノボビオシン感受性。人工弁やカテーテル関連感染症を引き起こす。 |
腐生ブドウ球菌 (S. saprophyticus) | 陽性 | 陰性 | ノボビオシン耐性。若年女性の尿路感染症の原因となる。 |
溶血性ブドウ球菌 (S. haemolyticus) | 陽性 | 陰性 | 通常、無害だが免疫力が低下した患者で感染を引き起こすことがある。 |
腐生ブドウ球菌 (S. saprophyticus) の特徴
S. saprophyticus は、特に性行為の活発な若年女性における尿路感染症の原因となる重要な病原体です。この細菌は、以下の特徴を持っています:
- コアグラーゼ陰性のブドウ球菌の一種
- ノボビオシン耐性であり、この特性により他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌と区別されます
- 尿路感染症の約半数を占め、頻尿や排尿時の痛みを引き起こします
他の選択肢との違い
選択肢 | 説明 |
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S. aureus 黄色ブドウ球菌 | コアグラーゼ陽性で、通常は皮膚感染症や肺炎などを引き起こします。尿路感染症は稀で、他の部位からの転移性感染が疑われます。 |
カンピロバクター | 主に急性胃腸炎を引き起こし、尿路感染症の原因にはなりません。 |
溶血性連鎖球菌 | グループA溶血性連鎖球菌はDNaseを産生し、皮膚感染や扁桃炎を引き起こします。S. saprophyticusはDNaseを産生しません。 |
カンジダ | カンジダは真菌で、特に免疫力の低い患者で粘膜感染を引き起こしますが、S. saprophyticusとは異なり、結節性リンパ管炎は引き起こしません。 |
教育目的
- 腐生ブドウ球菌 (S. saprophyticus) は、性行為の活発な若年女性における尿路感染症の主な原因であり、ノボビオシン耐性を持つことで他のブドウ球菌と区別されます。
- 尿検体でカタラーゼ陽性、コアグラーゼ陰性のグラム陽性球菌が検出された場合、ノボビオシン耐性試験が行われ、S. saprophyticusであることが確認されます。