折りたたみナイフ痙縮と上部運動ニューロン病変

折りたたみナイフ痙縮

折りたたみナイフ痙縮は、上部運動ニューロンの損傷に関連する特徴的な痙縮(筋肉の過剰な緊張)です。この現象は、受動的な腕や脚の屈曲に対して最初に抵抗が生じ、その後突然抵抗が解放されるというもので、特に上部運動ニューロン(UMN)病変で観察されます。これは、脊髄伸張反射の異常な抑制によるものです。

上部運動ニューロン病変の特徴

上部運動ニューロン(UMN)の病変は、錐体路の一部が損傷することで起こります。これにより、次のような臨床的な徴候が現れます。

症状説明
折りたたみナイフ痙縮受動的な屈曲に最初は強い抵抗があり、途中で突然抵抗が解放される。
反射亢進筋肉の反射が過剰に強くなる。
バビンスキー徴候足の裏をこすったときに、足の指が反り返る(正常な成人では見られない反応)。
対側の脱力損傷された運動系により、体の反対側に筋力低下が起こる。

上部運動ニューロン病変の部位

上部運動ニューロン病変は、皮質脊髄路(一次運動皮質から脊髄に至る運動神経の経路)を含むどの部分でも発生する可能性があります。特に内部被膜脳卒中では、次のような運動および感覚の障害が見られます。

  1. 一次運動皮質(中心前回)
    • 運動の出力を司る領域。ここが損傷されると、反対側の運動障害が起こる。
  2. 内部被膜
    • 感覚や運動情報が脳の皮質から脊髄に伝わる主要な通路。損傷があると、典型的には片側の運動障害痙縮が生じます。

他の神経系構造との違い

  • 大脳基底核(尾状核、被殻、淡蒼球):
    錐体外路運動系に関与し、姿勢や運動の調整を行います。損傷により舞踏病振戦運動緩慢などが見られますが、折りたたみナイフ痙縮とは異なります。
  • 島皮質
    感情体験や自律神経機能に関連し、運動機能とは直接関係ありません。

まとめ

折りたたみナイフ痙縮は、上部運動ニューロン病変(例えば、内部被膜脳卒中)に伴う特徴的な症状であり、通常は反対側の痙縮筋力低下が現れます。これらの病変は、皮質脊髄路に損傷を引き起こし、運動機能に大きな影響を与えることから、早期の診断と対応が重要です。


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