ワルファリンやヘパリンなどの抗凝固薬の過剰摂取は、血液凝固機能に影響を与え、重大な出血を引き起こす可能性があります。これらの薬物の過剰摂取に対しては、適切な治療が重要です。
ワルファリンの過剰摂取
ワルファリンは、ビタミンK依存性凝固因子（II、VII、IX、X）の生成を阻害し、抗凝固効果を発揮します。過剰摂取時の治療には、以下の方法が有効です。
| 治療法 | 効果 |
|---|---|
| ビタミンK | 効果があり、凝固因子の再合成を促進しますが、効果が出るまでに数日かかります。 |
| 新鮮凍結血漿 (FFP) | 即効性があり、すべての凝固因子（II、VII、IX、Xを含む）を補充します。生命を脅かす出血に有効です。 |
| プロタミン | 無効（ワルファリンに対する効果はありません）。 |
ヘパリンの過剰摂取
ヘパリンは、抗凝固効果を持ち、特にアンチトロンビンIIIの活性化を通じて作用します。過剰摂取時の治療には以下が適切です。
| 治療法 | 効果 |
|---|---|
| プロタミン | 効果的で、ヘパリンを中和し、抗凝固効果を取り除きます。 |
| ビタミンK | 無効（ヘパリンに対して効果がありません）。 |
| 新鮮凍結血漿 (FFP) | 無効（ヘパリンの影響を直接的に補正する効果はありませんが、重篤な出血時には使用されることがあります）。 |
殺鼠剤中毒におけるブロジファクム（スーパーワルファリン）
市販の多くの殺鼠剤には、ワルファリンと類似した長時間作用型の4-ヒドロキシクマリン誘導体（ブロジファクム）が含まれており、これを摂取するとワルファリン毒性と同様の症状が現れます。ブロジファクムはビタミンK依存性凝固因子を枯渇させ、重篤な出血を引き起こす可能性があります。
- 治療には、ビタミンKの補充とともに、すべての凝固因子を含む**新鮮凍結血漿（FFP）**の投与が必要です。ビタミンK単独では効果発現に時間がかかるため、緊急時にはFFPが有効です。
教育目的
ワルファリンおよびヘパリンの過剰摂取時には、治療に応じた適切な対策が重要です。ワルファリン過剰摂取では、ビタミンKとFFPが有効で、ヘパリン過剰摂取にはプロタミンが特異的な解毒剤として使用されます。また、殺鼠剤中毒では、ワルファリン類似物質に対する治療としてビタミンKとFFPが必要です。