セリアック病について

セリアック病は、グルテンに対する免疫反応により、小腸粘膜がダメージを受け、栄養吸収不良を引き起こす疾患です。グルテンは小麦や大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質で、その成分であるグリアジン小腸粘膜に対するT細胞媒介反応を引き起こします。この反応により、上皮内リンパ球増加症が最初に生じ、病気が進行すると腸絨毛の萎縮や消失が見られます。結果として、小腸、特に十二指腸近位空腸の栄養吸収が障害されます。

セリアック病の症状

症状説明
軟便・下痢グルテンの摂取後に頻繁に下痢が生じることが多く、脂肪便(青白くて臭い便)が見られることもあります。
腹部のけいれんや膨満感腸がダメージを受けることで、腹部に痛みやけいれん、膨満感、鼓腸が生じます。
小球性貧血鉄は主に十二指腸で吸収されるため、小腸が損傷すると鉄欠乏が起こり、小球性貧血(赤血球が小さくなる)が発生します。
疲労感鉄欠乏により、全身の疲労感や倦怠感が一般的です。
体重減少栄養吸収不良により、食事をしても体重が減少します。

セリアック病の診断と特徴

セリアック病の診断は、症状や血液検査(抗トランスグルタミナーゼ抗体抗エンドミシウム抗体の陽性)によって行われますが、最終的な確定診断には小腸生検が必要です。生検における典型的な病理学的特徴は次の通りです。

組織病理学的特徴説明
上皮内リンパ球増加症小腸の上皮にリンパ球が増加します。
腸絨毛の萎縮や消失栄養を吸収する腸絨毛が縮小し、栄養素の吸収が著しく低下します。
粘膜萎縮小腸の粘膜が薄くなり、栄養を吸収する機能が大幅に損なわれます。

他の疾患との違い

セリアック病と類似の症状を持つ疾患もありますが、各疾患には異なる特徴があります。

疾患名特徴
悪性貧血ビタミンB12吸収の障害による大球性貧血を特徴とし、鉄欠乏による小球性貧血は見られません。
潰瘍性大腸炎便潜血陽性が特徴で、貧血は失血によるものであり、吸収不良は主な原因ではありません。
ジアルジア症腸に感染する寄生虫による脂肪便が見られることがありますが、鉄欠乏を伴う小球性貧血はまれです。
コラーゲン性大腸炎水様性下痢が特徴ですが、小腸の吸収不良に関連することはなく、小球性貧血も通常は伴いません。

教育目的

セリアック病は、食事性グルテンに対する免疫反応によって引き起こされる小腸の吸収不良を伴う疾患です。特に十二指腸が影響を受け、鉄の吸収不良によって小球性貧血が発生することが一般的です。組織学的には、上皮内リンパ球増加症絨毛の消失、および粘膜萎縮が特徴です。この疾患は、食事からグルテンを除去することで症状を改善できるため、早期の診断と治療が重要です。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

PAGE TOP