色素性乾皮症 (Xeroderma Pigmentosum, XP) は、紫外線（UV）によるDNA損傷を修復するメカニズムの欠陥によって引き起こされるまれな遺伝性疾患です。この疾患は、常染色体劣性遺伝で、患者は紫外線に非常に敏感になります。正常な人では、紫外線によるDNA損傷はヌクレオチド除去修復というプロセスで修復されますが、XPの患者ではこの修復がうまくいかないため、DNAに異常が蓄積し、皮膚癌を含むさまざまな症状を引き起こします。
色素性乾皮症の特徴と症状
| 特徴・症状 | 説明 |
|---|---|
| 出生時の状態 | 皮膚は正常 |
| 日光過敏症 | 生後1年以内に、日光に対する過敏症が現れる。顔や露出部に紅斑や鱗屑が生じる |
| 慢性的なUV損傷 | 時間とともに皮膚に萎縮、毛細血管拡張症、色素沈着低下と色素沈着過剰が混在する領域が現れる |
| 皮膚悪性腫瘍 | 5〜6歳の早い時期に、悪性黒色腫、扁平上皮がん、基底細胞がんが発症することがある |
XPの患者は特に日光にさらされると損傷を受けやすく、通常の日常生活においても徹底した紫外線対策が必要です。
治療と予防
現在、色素性乾皮症に対する根本的な治療法はありませんが、紫外線の影響を最小限に抑えることで症状を軽減することが可能です。具体的には、次のような対策が推奨されています。
- 日光を避ける：外出時には常に日傘や長袖の衣服、帽子などを使用し、紫外線を遮断する。
- 日焼け止めの使用：高SPFの製品を定期的に塗布する。
- 定期的な皮膚検診：早期に皮膚がんを発見し、治療を開始するための定期的な診察が重要です。
XP患者の生活は慎重な管理が必要ですが、適切なケアをすることで生活の質を向上させることが可能です。
まとめ
色素性乾皮症は、DNA修復機能の欠如によって引き起こされる紫外線過敏症であり、皮膚がんのリスクが著しく高くなります。早期発見と予防策を講じることで、患者の健康を守ることができるため、紫外線に対する徹底した対策が必要です。