はじめに
小児期の股関節疾患は、発育期における骨や関節の成長に影響を及ぼし、適切な診断や治療が必要です。股関節は体の動きを支える重要な部分であり、疾患が放置されると運動能力に悪影響を与える可能性があります。本記事では、代表的な小児股関節疾患とその治療法について解説します。
代表的な小児股関節疾患
1. 先天性股関節脱臼(Developmental Dysplasia of the Hip: DDH)
先天性股関節脱臼は、生まれつき股関節が正常に発育していない状態を指します。主に股関節が不安定で、骨頭が臼蓋から外れてしまうことが特徴です。特に女児に多く、早期発見と治療が求められます。治療は通常、装具(パブリック装具)を用いて股関節を正常な位置に保ち、成長とともに矯正します。
2. ペルテス病(Legg-Calvé-Perthes disease)
ペルテス病は、股関節の骨頭が一時的に血流を失い、壊死する病気です。これにより、股関節が変形し、痛みや運動制限を引き起こします。主に4歳から10歳の男児に多く発症します。治療には、安静や理学療法、場合によっては手術が必要です。
3. 滑液性股関節炎(Transient Synovitis of the Hip)
滑液性股関節炎は、一時的に股関節に炎症が生じ、痛みや歩行困難を引き起こす疾患です。通常、数日から数週間で自然に改善しますが、症状が長引く場合や悪化する場合は、医師の診断が必要です。治療は、安静や痛み止めの投与が中心です。
4. 大腿骨頭すべり症(Slipped Capital Femoral Epiphysis: SCFE)
大腿骨頭すべり症は、股関節の成長板が弱くなり、大腿骨頭がずれる疾患です。特に思春期の肥満児に多くみられます。早期発見が重要で、手術による固定が一般的な治療法となります。放置すると股関節の変形や痛みが生じるため、迅速な対応が必要です。
診断方法
小児の股関節疾患は、X線や超音波などの画像検査によって診断されます。股関節の可動域や痛みの程度を確認し、必要に応じてMRIやCTスキャンが行われることもあります。
まとめ
小児の股関節疾患は、早期発見と適切な治療が重要です。成長期における骨や関節の変化を見逃さず、異常を感じた場合は早めに医師に相談しましょう。適切な治療を受けることで、長期的な運動機能の維持が期待できます。