ACE阻害薬は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻害し、全身の血管緊張の低下、アルドステロン分泌の減少、血圧低下をもたらします[1][3]。
アルドステロンレベルの低下は、ナトリウム排泄の増加とカリウム保持を引き起こし、高カリウム血症につながる可能性があります。このリスクは、腎機能障害のある患者や、カリウム保持性利尿薬、糸球体濾過を低下させる薬剤(例:非ステロイド性抗炎症薬)を服用している患者で最も高くなります。
高カリウム血症のリスクがある他の降圧薬
以下の降圧薬も血中カリウム濃度を上昇させる可能性があります:
- ミネラルコルチコイド受容体遮断薬(例:スピロノラクトン、エプレレノン)
- アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)(例:ロサルタン)
- 上皮性ナトリウムチャネル遮断薬(例:アミロライド、トリアムテレン)
これらの薬剤とACE阻害薬の併用は、重度の高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、ベースラインで軽度の高カリウム血症がある患者では避けるべきです[3][5]。
他の降圧薬の特徴
薬剤分類 | 代表的な薬剤 | 作用機序 | 電解質への影響 |
---|---|---|---|
ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬 | アムロジピン、ニフェジピン | 血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを阻害し、動脈拡張をもたらす | 有意な電解質異常を引き起こさない |
非ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬 | ベラパミル | 心拍数と収縮力を低下させる | 有意な電解質異常を引き起こさない |
ループ利尿薬 | ブメタニド、フロセミド | ヘンレループ上行脚のNa+/K+/2Cl-共輸送体を阻害 | 低カリウム血症を引き起こす可能性がある |
選択的β1遮断薬 | メトプロロール | 心拍数、心収縮力、レニン放出を減少させる | 通常、電解質異常を引き起こさない |
カルシウムチャネル遮断薬は、高カリウム血症のリスクがある患者でも使用可能です[2]。
まとめ
- ACE阻害薬は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻害し、血管収縮とアルドステロン分泌を減少させます。
- アルドステロンの減少はカリウム保持につながり、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
- このリスクは、腎機能障害のある患者や、カリウム値を上昇させる他の薬剤(例:ARB、ミネラルコルチコイド受容体遮断薬)を服用している患者で特に高くなります。
Citations:
[1] https://www.clinic-for-men.com/glossary/a/ACEi.html
[2] https://www.rarejob.com/englishlab/column/20210928_02/
[3] https://www.nagoya.tokushukai.or.jp/wp/heart_cardiopathy/3373.html
[4] https://abikoeigo.web.fc2.com/eigo.html
[5] http://www.kyoto-u-cardio.jp/shinryo/chiryo/00607/0060702ace/
[6] http://unicorn.ike.tottori-u.ac.jp/tokuhisa/himitsu/200802-DoctorThesis/Taro-20080203.pdf
[7] https://www.pharm.or.jp/words/word00026.html