Dorsal Radiocarpal Dislocation with Radial Styloid Fracture Treated with Arthroscopy-Assisted Reduction and Internal Fixation: A Report of Two Cases
Authors: Yuji Tomori, Norie Kodera, Mitsuhiko Nanno, Tokifumi Majima
Journal: Journal of Nippon Medical School, 2024; 91(2):241-248. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2024_91-201
本症例報告は、稀な手関節背側橈骨手根関節脱臼(RCD)および橈骨茎状突起骨折の2例に対し、関節鏡を用いた整復および内固定術の有効性を報告しています。
症例概要
- 症例1:56歳の男性が2メートルからの落下で負傷し、右手関節にRCDと橈骨茎状突起骨折が確認されました。徒手整復を試みましたが、完全には整復できず、関節の亜脱臼が残りました。その後、関節鏡下での骨折整復と固定が行われ、術後13か月で疼痛なく作業に復帰しました。
- 症例2:22歳の男性が野球中に左手を負傷し、背側RCD、橈骨茎状突起骨折、橈骨背側リム骨折、舟状骨近位極骨折を伴いました。関節鏡下整復と複数の骨折片の固定、TFCC(尺側三角線維軟骨複合体)修復を行い、最終的に機能回復を得ました。
手術方法
各症例で、まず徒手整復が試みられましたが、不安定性が残るため、関節鏡を用いた整復およびピンニングまたはスクリューでの固定が行われました。関節鏡で橈骨茎状突起および背側リムの骨折部の整復を確認し、TFCCやルノトリケートラル靭帯の損傷も評価・修復されました。
考察
RCDの治療では、関節内の骨折や靭帯損傷の正確な情報が重要です。従来の画像下のピンニングでは、骨片の再変位や関節面の不整合が生じるリスクがあるため、関節鏡下での整復・固定が推奨されます。関節鏡により視認性が向上し、骨折片の解剖学的整復と靭帯の修復が可能となるため、機能回復と痛みのない生活を実現できると考えられます。
結論
RCDおよび橈骨茎状突起骨折に対して、関節鏡を用いた整復と内固定は良好な臨床転帰を示し、橈骨手根関節の安定性と関節面の整合を維持する上で有効な治療法であることが確認されました。