Clinical Results of Closed Reduction and Percutaneous Pinning for Gartland Type II Flexion-Type Supracondylar Humeral Fractures in Children: Report of Three Cases
Authors: Yuji Tomori, Mitsuhiko Nanno, Tokifumi Majima
Journal: Journal of Nippon Medical School, 2023; 90(3):294-300. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2023_90-402
この症例報告は、子供のガートランド分類II型の屈曲型上腕骨顆上骨折に対し、閉鎖整復および経皮ピン固定(CRPP)を用いた治療結果を示しています。この型の骨折は稀であり、屈曲型骨折は小児の上肢骨折全体の1%〜10%を占めるとされています。
症例概要
- 対象者:2004年4月から2020年3月までに、上腕骨顆上骨折で手術を受けた15歳未満の患者102名のうち、屈曲型骨折は4例(約3.9%)のみでした。本研究では、追跡期間が12ヶ月以上あった3例(7歳女児、8歳女児、13歳男児)を報告しています。
- 手術手技:全例でCRPPが実施され、術後4週間のギプス固定後にピンを除去しました。
- 評価:術後のBaumann角やキャリング角、Flynn基準に基づく臨床評価が行われ、肘の可動域も評価されました。
結果
- 臨床転帰:3例全てで骨癒合が4週間以内に達成され、感染や神経麻痺、肘の内反・外反変形などの術後合併症は発生しませんでした。
- Flynn基準:2例は優、1例は良の評価でした。
- その他の観察:術前に尺骨神経麻痺があった1例は、術後3ヶ月で回復しました。
考察
- 屈曲型骨折の特徴:この型の骨折では、遠位上腕骨の背側皮質が保存されており、閉鎖整復が可能です。しかし、ボラン骨皮質が圧壊するため、CRPPを行う際に解剖学的な整復が困難となる場合があります。特に尺骨神経の障害リスクがあり、適切な整復が重要とされています。
- CRPPの利点:牽引テーブルを用いた閉鎖整復により、整復した骨片の位置を保持しつつ経皮ピン固定が可能となり、良好な臨床結果を得ることができました。