Surgical Outcomes of Coronal Shear Fracture of the Distal Humerus in Elderly Adults
Authors: Yuji Tomori, Mitsuhiko Nanno, Kentaro Sonoki, Tokifumi Majima
Journal: Journal of Nippon Medical School, 2022; 89(1):81-87. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2022_89-202
この研究は、肘関節遠位部の冠状剪断骨折(CSF)に対する開放整復内固定術(ORIF)の臨床転帰を、骨粗鬆症のある高齢患者で評価しています。対象となった8例の患者は、全員が低エネルギー外傷(転倒など)によって骨折を負い、骨粗鬆症が確認されました。
方法
- 患者:65歳以上の高齢者で、2002年から2019年に遠位上腕骨CSFに対してORIFを施行された8例を後ろ向きに解析。
- 手術法:アプローチとして外側、前外側、後方(尺骨骨切り併用)の3種類を使用。固定には無頭スクリュー、バイオ吸収性ピン、Kirschnerワイヤー、ロッキングプレートが用いられました。
- 評価項目:術後の関節可動域(ROM)、合併症、骨癒合、Mayo Elbow Performance Score(MEPS)を基に評価しました。
結果
- フォローアップ:平均23.6ヶ月(範囲9-49ヶ月)の追跡調査が行われました。7例で骨癒合が確認されましたが、1例で非癒合が生じ、さらに関節軟骨崩壊と無菌性壊死が1例に認められました。
- 機能評価:肘の平均可動域は屈曲116.3度、伸展-28.8度であり、MEPSの平均スコアは78.8点で、優1例、良3例、可4例でした。
考察
CSFは、関節軟骨の崩壊を伴うと、関節面の不一致とROMの制限を招きやすく、治療は困難です。特に重度の粉砕骨折や後方皮質の粉砕がある場合、骨移植や安定化デバイスの使用が推奨されます。