Premature Closure of the Distal Radial Physis without Evident History of Trauma: A Case Report

Premature Closure of the Distal Radial Physis without Evident History of Trauma: A Case Report
Authors: Yuji Tomori, Mitsuhiko Nanno, Shinro Takai
Journal: Medicine, 2020; 99(31):e21515. doi: 10.1097/MD.0000000000021515

この症例報告は、14歳の少女に見られた外傷歴のない遠位橈骨骨端線(physis)の早期閉鎖による右前腕の変形と機能障害について述べています。通常、骨端線早期閉鎖は外傷や血行不良が原因ですが、本症例では明らかな原因が確認されませんでした。

背景

遠位橈骨の骨端線は、8~18か月で骨化が始まり、約17歳で閉鎖します。骨成長が未成熟な状態で骨端線が早期閉鎖すると、橈尺骨の長さの差異や橈骨の変形が生じ、手首や前腕の機能に影響を及ぼすことがあります。通常、このような骨端線閉鎖は骨折や軸方向の圧力などの外傷によるものですが、原因不明のものは稀です。

症例報告

  • 患者:14歳の少女で、5歳時に右手首の痛みが始まり、徐々に前腕の変形と機能制限が進行しました。スポーツや日常生活にも支障を来していました。
  • 画像検査:レントゲンおよびCTで、遠位橈骨の掌側角変形と尺骨の背側突出、橈尺骨の長さの不均衡が確認されました。
  • 治療:変形と痛みを改善するため、腸骨移植を用いた遠位橈骨の楔状開放骨切り術および尺骨短縮骨切り術が行われました。

結果

術後1年9か月のフォローアップで、橈尺関節の整合が良好であり、手首の可動域は健側と同等に回復しました。右手の握力は18 kgで、左手の82%でしたが、患者は術後の結果に満足していました。

考察(Discussion)

外傷歴がなく骨端線閉鎖が生じた原因は不明ですが、反復する軸方向の圧力や軽微な骨端線損傷の可能性が考えられます。特に、若年の体操選手において体重支持の際の圧迫が成長障害を引き起こすことがあるとされています。本症例の患者は、テニスやバスケットボールをしており、ボール接触による反復的な外力が骨端線に影響を及ぼした可能性も示唆されています。成長期における骨端線閉鎖による変形は通常の骨切り術で矯正が可能ですが、骨成長が未完了のため、再手術の可能性が残ります。

結論

遠位橈骨の原因不明の骨端線早期閉鎖に対する矯正骨切り術は、良好な結果を示しましたが、再発リスクの管理が必要です。


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