Magnetic Resonance Imaging Predicts Outcomes of Conservative Treatment in Patients with Lateral Epicondylitis.

Magnetic Resonance Imaging Predicts Outcomes of Conservative Treatment in Patients with Lateral Epicondylitis.
Ikeda K, Ogawa T, Ikumi A, Yoshii Y, Kohyama S, Ikeda R, Yamazaki M. Journal of Orthopaedic Science. 2024;29(5):795-801. doi:10.1016/j.jos.2023.03.014.

Detailed Summary in Japanese (約2000字):

本研究の目的は、外側上顆炎(LE)患者に対する保存療法の結果をMRIスコアを用いて予測し、保存療法と手術療法の効果を比較して治療方針の策定に役立てることです。LEは肘関節周囲の腱の病変であり、特に前腕の伸筋腱が影響を受けやすく、反復的な使役や過負荷により発症します。保存療法は一般的な治療選択肢ですが、重症化した場合や症状が改善しない場合には手術が検討されることが多いです。しかし、MRIの画像所見と治療結果の関連については、未だ議論の余地が残されています。そこで本研究では、MRIスコアが保存療法の結果を予測する指標となり得るかを検証しました。

研究方法

本研究は2013年から2020年の期間に外側上顆炎と診断され、保存療法または手術療法を受けた患者を対象にした後ろ向きの単一コホート研究です。対象患者は、保存療法を受けた43肘(40名)と手術療法を受けた50肘(43名)の計93肘(72名)でした。除外基準には、肘関節の外傷歴、肘関節の変形性関節症、関節リウマチの既往歴などが含まれ、最終的に保存療法を6か月以上受けた患者のみが選ばれました。治療開始時および治療後6ヶ月時点でのMRI検査が実施され、MRIスコアと臨床結果を比較しました。

MRIスコアの評価には、前回の研究で提案された「LE-MRIスコア」を用い、腕頭関節の関節面から外側上顆の腱付着部までを評価範囲としました。このスコアは、腱や靭帯の信号変化の強度と範囲を反映し、0から8のスコアで疾患の重症度を評価します。さらに治療結果の判定には、Nirschlフェーズレーティングスケール3以下である場合「良好」と定義し、4以上である場合「不良」としました。

研究結果

保存療法を受けた43肘のうち、67.4%(29肘)が良好な結果を示し、32.6%(14肘)が不良な結果を示しました。MRIスコアの中央値は、良好な結果のグループで4(範囲3-5)、不良な結果のグループで6(範囲6-6)でした。ROC解析の結果、MRIスコアが6以上の場合に保存療法での不良予後が予測され、6というスコアが保存療法の効果を予測するカットオフ値であるとされました。一方、手術療法を受けた患者では、86.0%(43肘)が良好な結果を示し、MRIスコアに関わらず手術の結果には有意な差が見られませんでした。

MRIスコアに基づく保存療法と手術療法の比較では、スコア5以下(MRI-mild)の患者においては、保存療法と手術療法の結果に有意差は見られませんでした。しかし、スコア6以上(MRI-severe)の患者においては、保存療法の結果が手術療法よりも有意に悪いことが示されました。具体的には、MRI-severeの保存療法グループでは35.3%が良好な結果を示しましたが、手術療法グループでは88.6%が良好な結果を示しました。

考察

本研究の結果、MRIスコアは保存療法の予後を予測する有効な指標となることが確認されました。MRI-severe(スコア6以上)の患者に対しては、保存療法では治療効果が限られるため、早期の段階で手術療法を検討すべきと考えられます。MRI-mild(スコア5以下)の患者では保存療法が依然として有効であり、手術の適応は慎重に判断されるべきと示唆されています。

MRIによるLEの重症度の評価は、保存療法の適応や手術の適時性を判断する際の補助として有用であると結論づけられました。MRIによる病変評価は、腱・靭帯の変性や断裂といった重篤な病態を早期に検出できるため、手術療法の選択や治療計画の策定に役立つと考えられます。本研究は、MRIを用いた外側上顆炎の病態評価が、保存療法と手術療法の選択において重要な役割を果たすことを示しています。

結論

本研究により、MRIスコアが外側上顆炎患者の治療戦略における決定に役立つ可能性が明らかになりました。特に、MRI-severeと評価された患者には手術を検討するべきであり、MRI-mildの患者には保存療法を優先するべきです。MRIによる重症度評価が、適切な治療選択のガイドラインとしての有用性を示唆しています。


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