尋常性天疱瘡 (Pemphigus vulgaris) と 水疱性類天疱瘡 (Bullous pemphigoid) の比較

特徴尋常性天疱瘡 (Pemphigus vulgaris)水疱性類天疱瘡 (Bullous pemphigoid)
発症年齢40〜60歳60歳以上
臨床症状痛みを伴う。弛緩性水疱 → 糜爛(びらん)かゆみを伴う。緊張性水疱
粘膜の関与が一般的粘膜の関与はまれ
病理組織学的所見表皮内分離表皮下分離
免疫蛍光所見デスモソームに対する網目状のIgG基底膜沿いの半デスモソームに対する直線状IgG

水疱性類天疱瘡 (Bullous pemphigoid)

この高齢患者は、典型的な水疱性類天疱瘡(BP)の特徴を示しています。BPは自己免疫性の水疱性疾患であり、60歳以上の人々に最も多く見られ、特に神経疾患(例:アルツハイマー病)を持つ患者に多いです。BPでは、皮疹は一般的に緊張性の水疱で、紅斑性または正常な基部が見られます。病変の分布は局所的または全身的で、粘膜の関与はまれです。

BPの原因は、真皮と表皮の接合部にある半デスモソームに対する自己抗体です。これにより、表皮全体が真皮から分離し、表皮下水疱が形成されます。免疫蛍光染色では、基底膜沿いに直線状にIgGやC3が沈着していることが確認されます。


尋常性天疱瘡 (Pemphigus vulgaris)

一方、尋常性天疱瘡は、40〜60歳の人々に多く見られる自己免疫疾患で、弛緩性の水疱が特徴です。これらの水疱は簡単に破れ、糜爛(びらん)を形成します。また、尋常性天疱瘡では、粘膜の関与がほぼ常に見られるのが特徴です。病理的には、表皮内で分離が起こり、免疫蛍光検査では表皮内のデスモソームに対するIgGが網目状に沈着しているのが確認されます。


まとめ

  • 水疱性類天疱瘡 (BP) は60歳以上の患者に多く見られ、粘膜の関与はまれで、半デスモソームに対する自己抗体が原因で表皮下水疱を形成します。
  • 尋常性天疱瘡 (PV) は40〜60歳の患者に多く見られ、粘膜の関与が一般的で、デスモソームに対する自己抗体が原因で表皮内の弛緩性水疱を引き起こします。


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