双子の妊娠と胎盤形成の違い

双子の妊娠には、二卵性双生児(Dizygotic twins)一卵性双生児(Monozygotic twins)の2種類があります。それぞれの発生メカニズムと胎盤(プラセンタ、Placenta)の形成には大きな違いがあります。本記事では、これらの違いをわかりやすく解説し、妊娠中に観察される胎盤と羊膜(Amnion)の構造についても説明します。

二卵性双生児(Dizygotic twins)

二卵性双生児は、2つの卵子がそれぞれ異なる精子によって受精されることにより発生します。このため、二卵性双生児は異なる性別であることがあり、遺伝的には異なります。

二卵性双生児の特徴

  • 受精:2つの卵子が異なる精子によって受精。
  • 性別:異なる性別になる可能性がある。
  • 胎盤構造:ほぼ常に二絨毛膜二羊膜性(Dichorionic/Diamniotic)、つまり2つの絨毛膜(Chorion)と2つの羊膜を持ちます。

ただし、着床する位置が近い場合、絨毛膜や羊膜が融合しているように見えることがあり、一見すると一絨毛膜性のように見える場合があります。

一卵性双生児(Monozygotic twins)

一卵性双生児は、1つの卵子が1つの精子と受精し、その後に胚が分裂することで発生します。このため、一卵性双生児は同じ性別で、遺伝的には完全に同一です。

一卵性双生児の胎盤構造の違い

一卵性双生児の胎盤と羊膜の構造は、受精後に胚が分裂する時期によって異なります。以下の表に、分裂時期に応じた胎盤の特徴を示します。

分裂時期胎盤と羊膜の構造特徴
受精後0〜4日二絨毛膜二羊膜性(Dichorionic/Diamniotic)2つの絨毛膜と2つの羊膜を持ち、性別は同じ。二卵性双生児と外見的に区別が難しい場合がある。
受精後4〜8日一絨毛膜二羊膜性(Monochorionic/Diamniotic)絨毛膜は1つ、羊膜は2つ。双子は同じ胎盤を共有するが、羊膜は別々。
受精後8〜12日一絨毛膜一羊膜性(Monochorionic/Monoamniotic)絨毛膜も羊膜も1つ。へその緒の絡まりなどのリスクが高く、胎児死亡率が高い。
受精後13日以降結合双生児(Conjoined twins)絨毛膜と羊膜が1つで、双子が身体の一部を共有。

胎盤構造と妊娠リスク

一絨毛膜一羊膜性の妊娠(受精後8〜12日)は、へその緒が絡まるリスクが高く、双子の生存に影響を与えることがあります。また、13日以降の分裂では結合双生児となり、複雑な医療管理が必要です。

まとめ

  • 二卵性双生児は、異なる性別であり、ほとんどが二絨毛膜二羊膜性(Dichorionic/Diamniotic)です。
  • 一卵性双生児は、受精後の分裂時期によって胎盤と羊膜の構造が異なり、分裂が早いほど二絨毛膜二羊膜性に近く、遅いほどリスクが高まります。
  • 受精後8〜12日の一絨毛膜一羊膜性(Monochorionic/Monoamniotic)の妊娠はリスクが高く、医療的な管理が重要です。

一卵性双生児の発生過程や胎盤の特徴を理解することは、妊娠のリスク評価や適切なケアに役立ちます。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者:

タグ:

PAGE TOP