マラリアは、プラスモディウム属(Plasmodium)という原虫によって引き起こされる寄生虫疾患です。この病気は、熱帯や亜熱帯地域でよく見られ、特にサハラ以南のアフリカ(Sub-Saharan Africa)、ニューギニア(New Guinea)、ドミニカ共和国(Dominican Republic)、およびハイチ(Haiti)などに多く見られます。感染は主にハマダラカ(Anopheles)によって媒介されます。
マラリアの主な原因プラスモディウム種
マラリアは、4種類の主なプラスモディウム属(Plasmodium)によって引き起こされます。
プラスモディウム種 | 主な分布地域 |
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Plasmodium falciparum | サハラ以南のアフリカ、ニューギニア、ドミニカ共和国、ハイチ。世界で最も一般的なマラリア原因。 |
Plasmodium vivax | 中南米、西太平洋地域。 |
Plasmodium ovale | 少数のケース。主にアフリカおよび西太平洋。 |
Plasmodium malariae | 少数のケース。広範な地域で見られるが頻度は少ない。 |
診断方法
ギムザ染色(Giemsa Staining)を使用した末梢血塗抹標本の顕微鏡検査が、最も一般的な診断法です。血液中の赤血球に寄生した原虫の形態を観察することで、感染しているプラスモディウム種を特定できます。
プラスモディウム種 | 血液塗抹標本での特徴 |
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Plasmodium falciparum | 小さなリング状のトロフォゾイト(成長中の原虫)とバナナ型のガメトサイトが観察される。 |
Plasmodium vivax | 大型のリング状トロフォゾイトが特徴。 |
Plasmodium ovale & Plasmodium malariae | それぞれ異なる形態の原虫が観察されるが、症例は少ない。 |
治療法
マラリアの治療は、感染したプラスモディウム種や耐性状況に応じて選択されます。
治療薬 | 使用目的 |
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クロロキン(Chloroquine) | クロロキン感受性のプラスモディウム種に対する第一選択薬。特に耐性がない地域で使用される。 |
アトバコン-プログアニル(Atovaquone-Proguanil) | クロロキン耐性のプラスモディウムに対して使用。アフリカ地域などで一般的に使用される。 |
アルテミシニン(Artemisinins) | クロロキン耐性のマラリアに対して有効で、非常に効果的な治療薬。 |
プリマキン(Primaquine) | Plasmodium vivaxやPlasmodium ovaleに対して追加され、肝臓内の休眠原虫(ヒプノゾイト:Hypnozoites)を殺す。 |
プリマキンの重要性
Plasmodium vivaxおよびPlasmodium ovaleは、肝臓内で休眠形態のヒプノゾイト(Hypnozoites)として残ることがあります。これにより、治療後に再発する可能性があるため、プリマキンを使用してこれらの休眠原虫を除去することが重要です。
他の疾患との鑑別
マラリアの診断と区別するために、他の寄生虫疾患も考慮する必要があります。
疾患名 | 診断の特徴と治療法 |
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リーシュマニア症(Leishmaniasis) | サンドフライが媒介。ギムザ染色でアマスチゴートが観察され、治療にはアンホテリシンB(Amphotericin B)が使用される。 |
フィラリア症(Filariasis) | 蚊が媒介。ギムザ染色でミクロフィラリアが観察され、治療にはジエチルカルバマジン(Diethylcarbamazine)が使用される。 |
トリパノソーマ症(Trypanosomiasis) | アフリカ睡眠病を引き起こし、ニフルチモックス(Nifurtimox)で治療。顕微鏡検査でトリパノソーマが観察される。 |
まとめ
ポイント | 説明 |
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マラリアの原因プラスモディウム種 | 主にPlasmodium falciparumが最も一般的。Plasmodium vivaxや他の2種もまれに見られる。 |
診断法 | ギムザ染色を使用した末梢血塗抹標本での顕微鏡観察。 |
治療法 | クロロキン、アトバコン-プログアニル、アルテミシニンが使用される。特定の種にはプリマキンが必要。 |
他の疾患との鑑別 | リーシュマニア症、フィラリア症、トリパノソーマ症なども考慮。 |
マラリアは、特定の地域に多く見られる感染症ですが、適切な診断と治療によって予防や治療が可能です。特に耐性状況に応じた治療薬の選択が重要です。