ビタミンB欠乏症

ビタミンB欠乏症は、ビタミンB群のいずれかが不足することで発生する病態です。ビタミンBは、エネルギー代謝や神経機能、赤血球の生成に重要な役割を果たしているため、これらが不足するとさまざまな症状が現れます。ビタミンB群には8種類あり、それぞれの欠乏により異なる症状が出ます。

ビタミンB群の種類と欠乏症

  1. ビタミンB1(チアミン)
    • 欠乏症:脚気(かっけ)
      • 症状:疲労、筋力低下、神経障害、心不全
      • 原因:主に精製された米やパンの食事の摂取、過剰なアルコール摂取
      • 特に重症の場合、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群という神経系の障害が現れることがあります。
  2. ビタミンB2(リボフラビン)
    • 欠乏症:口内炎、口角炎、皮膚炎
      • 症状:口や舌の炎症、唇のひび割れ、目の充血
      • 原因:栄養不足、特に成長期や妊娠中に起こりやすいです。
  3. ビタミンB3(ナイアシン)
    • 欠乏症:ペラグラ
      • 症状:皮膚炎、下痢、認知障害
      • 原因:トウモロコシ中心の食事やアルコール依存症によるナイアシン不足。
  4. ビタミンB5(パントテン酸)
    • 欠乏症:極めてまれ
      • 症状:疲労、頭痛、吐き気
      • パントテン酸は多くの食品に含まれているため、欠乏症はほとんど見られません。
  5. ビタミンB6(ピリドキシン)
    • 欠乏症:貧血、神経障害、皮膚炎
      • 症状:末梢神経障害、抑うつ、けいれん
      • 原因:アルコール依存症や特定の薬剤(例えば、イソニアジドなど)による不足。
  6. ビタミンB7(ビオチン)
    • 欠乏症:皮膚炎、脱毛、神経障害
      • 原因:生卵白の過剰摂取や長期的な栄養不良
  7. ビタミンB9(葉酸)
    • 欠乏症:巨赤芽球性貧血、胎児の神経管欠損
      • 症状:貧血、倦怠感、胎児の発育障害
      • 特に妊娠中は十分な葉酸摂取が重要です。
  8. ビタミンB12(コバラミン)
    • 欠乏症:悪性貧血、神経障害
      • 症状:貧血、手足のしびれ、認知機能の低下
      • 原因:ビーガンやベジタリアンなど、動物性食品を摂らない食事が主な要因です。また、胃酸の不足や吸収不良も関係します。

ビタミンB欠乏症の原因

ビタミンB欠乏症は、食生活の偏り、特定の疾患や薬物の使用、アルコール依存症などが原因で起こることが多いです。特に加工食品中心の食生活では、ビタミンB群が不足しやすくなります。

予防と治療

ビタミンB欠乏症を予防するには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。以下の食品にビタミンB群が豊富に含まれています。

  • ビタミンB1:豚肉、全粒穀物、豆類
  • ビタミンB2:牛乳、卵、緑黄色野菜
  • ビタミンB3:肉、魚、全粒穀物
  • ビタミンB6:鶏肉、じゃがいも、バナナ
  • ビタミンB12:肉、魚、乳製品

欠乏症が疑われる場合は、医師の診断を受け、適切なサプリメントや食事療法を行うことが必要です。

まとめ

ビタミンB群は、エネルギー代謝や神経系の健康維持に不可欠な栄養素です。欠乏すると、様々な健康問題が引き起こされるため、バランスの良い食生活が重要です。特に、特定の食事制限をしている場合やアルコールの摂取量が多い場合には、ビタミンBの補充を意識しましょう。


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