スフィンゴリピドーシスについて

スフィンゴリピドーシスは、スフィンゴリピドという脂質の代謝異常による遺伝性疾患群です。以下に、主要なスフィンゴリピドーシスの疾患について詳細をまとめた表を示します。

スフィンゴリピドーシスの主要疾患

疾患名英名病型遺伝型欠損した酵素 (カタカナ / 英名)蓄積された基質 (カタカナ / 英名)主な障害
ゴーシェ病Gaucher DiseaseI型(非神経型)、II型(急性神経型)、III型(慢性神経型)常染色体劣性グルコセレブロシダーゼ / Glucocerebrosidaseグルコセレブロシド / Glucocerebroside肝脾腫、骨病変、貧血、血小板減少
ニーマン・ピック病Niemann-Pick DiseaseA型(神経型)、B型(非神経型)常染色体劣性スフィンゴミエリンアーゼ / Sphingomyelinaseスフィンゴミエリン / Sphingomyelin肝脾腫、神経症状(精神運動発達遅滞など)
テイ・サックス病Tay-Sachs DiseaseI型(典型型)常染色体劣性ヘキソサミニダーゼA / Hexosaminidase AGM2ガングリオシド / GM2 Ganglioside神経変性、発達障害、早期死亡
ファブリー病Fabry Disease1型(典型型)X連鎖劣性アルファ-ガラクトシダーゼA / Alpha-galactosidase Aガラクトシルセラミド / Galactosylceramide心血管疾患、腎障害、皮膚病変
異染性白質ジストロフィーMetachromatic Leukodystrophy常染色体劣性アーリザーゼ / Arylsulfatase Aスフィンゴミエリン / Sphingomyelin神経変性、運動障害、認知症
ファーバー病Farber Disease常染色体劣性アーリザーゼ / Arylsulfataseスフィンゴミエリン / Sphingomyelin神経障害、精神障害、運動障害

詳細説明

  1. ゴーシェ病 (Gaucher Disease)
    • 病型:
      • I型: 非神経型。成人発症。
      • II型: 急性神経型。乳児期に発症し進行が早い。
      • III型: 慢性神経型。比較的遅い進行。
    • 遺伝型: 常染色体劣性
    • 欠損した酵素: グルコセレブロシダーゼ (Glucocerebrosidase)
    • 蓄積された基質: グルコセレブロシド (Glucocerebroside)
    • 主な障害: 肝脾腫、骨病変、貧血、血小板減少
  2. ニーマン・ピック病 (Niemann-Pick Disease)
    • 病型:
      • A型: 神経型。乳児期に発症し、進行が早い。
      • B型: 非神経型。肝脾腫を主な症状とし、神経症状は遅れる。
    • 遺伝型: 常染色体劣性
    • 欠損した酵素: スフィンゴミエリンアーゼ (Sphingomyelinase)
    • 蓄積された基質: スフィンゴミエリン (Sphingomyelin)
    • 主な障害: 肝脾腫、神経症状(精神運動発達遅滞など)
  3. テイ・サックス病 (Tay-Sachs Disease)
    • 病型:
      • I型: 典型型。乳児期に発症し急速に進行する。
    • 遺伝型: 常染色体劣性
    • 欠損した酵素: ヘキソサミニダーゼA (Hexosaminidase A)
    • 蓄積された基質: GM2ガングリオシド (GM2 Ganglioside)
    • 主な障害: 神経変性、発達障害、早期死亡
  4. ファブリー病 (Fabry Disease)
    • 病型:
      • 1型: 典型型。成人男性に多く見られる。
    • 遺伝型: X連鎖劣性
    • 欠損した酵素: アルファ-ガラクトシダーゼA (Alpha-galactosidase A)
    • 蓄積された基質: ガラクトシルセラミド (Galactosylceramide)
    • 主な障害: 心血管疾患、腎障害、皮膚病変
  5. 異染性白質ジストロフィー (Metachromatic Leukodystrophy)
    • 病型:
      • : 多様な型が存在する。
    • 遺伝型: 常染色体劣性
    • 欠損した酵素: アーリザーゼ (Arylsulfatase A)
    • 蓄積された基質: スフィンゴミエリン (Sphingomyelin)
    • 主な障害: 神経変性、運動障害、認知症
  6. ファーバー病 (Farber Disease)
    • 病型:
      • : 多様な型が存在する。
    • 遺伝型: 常染色体劣性
    • 欠損した酵素: アーリザーゼ (Arylsulfatase)
    • 蓄積された基質: スフィンゴミエリン (Sphingomyelin)
    • 主な障害: 神経障害、精神障害、運動障害

まとめ

スフィンゴリピドーシスは、スフィンゴリピドの異常な蓄積が原因で発症する遺伝性疾患です。それぞれの疾患は異なる酵素の欠損によって引き起こされ、症状や進行速度も異なります。治療方法としては、酵素補充療法や対症療法があり、早期診断と適切な治療が患者の生活の質を向上させるために重要です。


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