コカイン中毒による脳卒中と心筋梗塞

若者が突然の予期しない死亡を経験し、剖検で大量の出血性脳卒中や散在性心筋梗塞が見つかった場合コカイン中毒(Cocaine Toxicity)が疑われます。コカインは、カテコールアミン(Catecholamines)の再取り込みを阻害し、交感神経系を過剰に刺激することで、血管収縮や血栓形成を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞のリスクを増加させます。

コカイン中毒のメカニズム

コカインは、シナプス前モノアミントランスポーター(Presynaptic Monoamine Transporter)を阻害し、ノルエピネフリン(Norepinephrine)ドーパミン(Dopamine)などのカテコールアミンの再取り込みを防ぎます。この結果、シナプス後膜でカテコールアミンの濃度が上昇し、強い交感神経刺激が引き起こされます。これにより、脳卒中や心筋梗塞が発生する主なメカニズムは以下の通りです。

1. 脳動脈の血管攣縮(Vasospasm)

  • ドーパミンの増加によって、脳動脈が血管攣縮を起こします。これにより、脳への血流が遮断され、脳卒中を引き起こすリスクが高まります。

2. 血圧上昇

  • 血管収縮交感神経の亢進によって、血圧が急激に上昇します。これが原因で、大動脈解離(Arterial Dissection)小動脈の破裂が発生し、脳内出血が生じます。
  • 若年者でも、これによりラクナ梗塞(Lacunar Infarct)のリスクが高まります。通常、これらの梗塞は高血圧の長期影響で起こりますが、コカイン中毒では急性の血圧上昇が原因となります。

3. 血栓形成の促進

  • コカインは、血小板の活性化および血栓形成促進因子(例:トロンボキサン)を刺激し、血栓の形成を促進します。この血栓が、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす原因となります。

4. 心筋酸素需要の増加

  • コカイン中毒は、心筋の収縮力の増加心拍数の増加を引き起こし、心臓にかかる負荷が増大します。この結果、心筋への酸素供給が不足し、心筋虚血(Myocardial Ischemia)心筋梗塞(Myocardial Infarction)を引き起こします。

コカイン中毒の影響と症状

コカイン中毒による症状は、以下のような重篤な結果を引き起こすことがあります。

症状説明
脳卒中(Stroke)脳動脈の血管攣縮や血圧上昇により、脳出血や梗塞が発生。
心筋梗塞(Myocardial Infarction)心筋酸素需要の増加や血栓形成により、心筋への血流が遮断される。
高血圧(Hypertension)血管収縮と交感神経刺激により、急激な血圧上昇が発生。

治療に関する考察

コカイン中毒の治療では、交感神経刺激を抑えることが重要です。しかし、治療には慎重さが必要であり、一般的に使用されるβ遮断薬(Beta Blockers)は避けるべきです。β遮断薬は、β受容体を抑制する一方で、α受容体の刺激を無制限にしてしまう可能性があり、これにより血管収縮が悪化する可能性があります。

まとめ(Educational Objective)

コカインは、カテコールアミン(ノルエピネフリンやドーパミン)の再取り込みを阻害し、過剰な交感神経刺激を引き起こします。これにより、脳卒中心筋梗塞のリスクが増加します。コカイン中毒による交感神経の過剰刺激は、血管攣縮、血圧上昇、血栓形成を促進し、深刻な循環器系の問題を引き起こします。



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